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更新日:2020年7月15日
下松市は、山口県の南東部に位置し、東は光市と周南市(旧熊毛町)に、西及び北は周南市〔旧徳山市〕に隣接し、南は波静かな天然の良港である笠戸湾を擁し周防灘に臨んでいる。
昭和14年11月、1町3村が合併して市制がしかれたが、市域に大きな河川がないため、利水の便が悪く、永年飲料水の不足と干ばつに苦しめられてきたので、抜本的な利水対策が期待されていた。
そこで、昭和15年に水道用水、工業用水及び灌漑(かんがい)用水の確保を目的として、末武川上流〔旧米川村温見〕に温見ダムの建設が計画され、一部付け替え道路建設工事に着手したが、第2次世界大戦により中止となった。
戦後、人口の急増、大工場の拡張などから再び水需要が窮迫してきたので、温見ダム建設事業を再開することとなり、昭和26年度に県営温見ダム建設事業として認可され、事業に着手した。
一方、このダムの完成までには多年を要するため、当面緊急を要する市街地(下松駅周辺から大海町水源地まで)の給水を行うため、ポンプ直送方式による計画給水人口20000人、計画1日最大給水量4000立方メートル/日(1人1日最大給水量200リットル、1人1日平均給水量140リットル、総事業費1200万円)の大海町水源地を建設することとなった。この大海町水源地は昭和26年8月に完成し、同地域に給水を開始するとともに、工場用水として東洋鋼鈑(株)下松工場及び日本石油精製(株)下松製油所にも給水を開始した。
本市の第1期拡張事業は、県営温見ダムにより水利権28770立方メートル/日(0.333立方メートル/秒)の確保を図る一方、御屋敷山において、処理能力30000立方メートル/日の浄水場を完成させるべく昭和27年に計画認可を得て配水管の整備も合わせて事業着手した。
下松地区・・・大字東豊井、西豊井の全部
末武地区・・・大字末武中、末武下、平田の全部
花岡地区・・・大字末武上の全部、大字生野屋の一部
1人1日最大給水量 867リットル(うち工場給水667リットル)
1人1日平均給水量 807リットル(うち工場給水667リットル)
1人1日時間最大給水量 1300リットル
1日最大給水量 31212立方メートル
昭和40年以降、市勢の発展とともに水需要は更に増大し、水不足が頻発する状態となり、給水区域の水圧低下による慢性的な出水不良地区も生じるようになったため、昭和50年度を目標年次とした第2期拡張計画を実施することとし、このため新規水利権の確保、浄水施設の増設及び配水管の系統的布設を実施する内容で国の認可を昭和44年7月に得て事業着手した。
水利権については、下松徳山連合土地改良区の全面的な協力により、灌漑(かんがい)用水の見直しによる余剰水によって、上水の水利権28770立方メートル/日(0.333立方メートル/秒)を39744立方メートル/日(0.460立方メートル/秒)に増量変更した。
浄水施設については、既存の浄水能力(配水量30000立方メートル/日)を拡大(配水量60000立方メートル/日)するために、既設沈殿池を傾斜板方式に改良し、原水の気泡除去を図るために、落差工(滝)の設置や薬品注入装置の改良などを実施した。
配水施設は、全般的な水圧の強化を目的として、配水管の系統的布設を行うとともに、配水本・支管の増強、配水池の増設及び増圧ポンプ所を設置した。
給水区域は、昭和45年11月に笠戸大橋の完成に伴い、笠戸島への給水が可能となったので、島内に配水管布設工事を行うとともに、江の浦地区に配水池を築造し、洲鼻に増圧ポンプ所を設置するなど施設の整備をおこない、昭和46年11月から島内全域への給水を開始した。また、久保地区については、昭和45年以降の団地造成ブームに伴い急速に上水道の布設が必要となったので、昭和49年2月から殿ケ浴水管橋を基点に久保市二の瀬の国道2号線までの配水管布設工事を開始し、久保中学校の西の山頂に配水池を築造するとともに、大河内に増圧ポンプ所を設置して、昭和49年10月から給水を開始した。
久保地区・・・大字河内、山田の一部
笠戸島地区・・・大字笠戸島の全部
1人1日最大給水量 978リットル(うち工場給水681リットル)
1人1日平均給水量 807リットル(うち工場給水618リットル)
1人1日時間最大給水量 1467リットル
1日最大給水量 52629立方メートル
現在、実施中の第3次拡張事業は、恋ケ浜工業団地(東海岸通り130ha)、第3号埋立地(23ha)の完成及び久保地域への住宅団地(東陽町ほか200ha)の計画による水需要を予測して昭和58年度における計画給水人口79000人、1日最大給水量82000立方メートル/日をめざして新規水源40000立方メートル/日の開発及び御屋敷山浄水場22000立方メートル/日(大海町水源地8000立方メートル/日は予備水源)の増設を主な事業内容として昭和49年1月に国の許可を得たものである。
その後、昭和56年1月に目標年次を昭和58年度から昭和64年度(平成元年度)に延ばすとともに、御屋敷山浄水場22000立方メートル/日の増設をとりやめ、大海町水源地能力の見直しによる4000立方メートル/日及び18000立方メートル/日の新浄水場建設とした国の変更認可を得た。さらに昭和62年4月に平成元年度の目標年次を平成7年度に、平成4年4月に平成7年度の目標年次を平成22年度に変更する届け出を国に行って現在に至っている。
この間、平成4年4月から末武川ダムの完成により新たに23100立方メートル/日の水利権を加えて全体では67100立方メートル/日の水源を確保することとなった。
しかし、給水人口及び給水量の動向を見極めながら、上述のとおり、計画目標年次を伸ばし、事業を進度調整してきたところであるが、将来において計画給水人口、給水量への達成は困難であるという結論に達した。このため、吉原ダム建設については、平成17年12月の山口県公共事業再評価委員会の中止という答申を受け、参画三者(山口県、周南市、下松市)の協議の後、平成18年度末での中止を決定した。
したがって、第3次拡張計画についても、吉原ダム建設中止に基づき事業の見直しを行ない、本市の平成13年策定の新総合計画人口(平成22年度目標55,000人~60,000人)と整合性ある「下松市水道事業基本計画」を平成22年3月に策定した。今後の事業展開は当該計画に沿って進めて行く予定である。
下松地区・・・東海岸通りの全部(130ha)
久保地区・・・大字来巻の全部
大字切山の全部
東和1~2丁目の全部
桃山町の全部
1人1日最大給水量 1038リットル
1人1日平均給水量 810リットル
1日最大給水量 82000立方メートル
新浄水場 18000立方メートル/日
御屋敷山浄水場 活性炭ろ過池新設
天日乾燥処理設備新設
1人1日最大給水量 940リットル
1人1日平均給水量 750リットル
1日最大給水量 53300立方メートル
県営事業として進められた両ダムは、山口県工水16200立方メートル/日、下松市上水40000立方メートル/日、徳山市(現周南市)上水14100立方メートル/日、計70300立方メートル/日を開発するものであった。
末武川ダム(総貯水量19570千立方メートル)の建設工事は、昭和53年に着工し、ダム本体工事を平成2年度末に完成させ、平成3年度に湛水(たんすい)試験及び環境整備工事のすべてを終え、平成4年4月から正式に共用を開始した。
一方、末武川ダムとの相互運用を目的として計画した吉原ダム(総貯水量1870千立方メートル)は、その後の経済情勢の変化などからダム本体工事や取水施設工事は平成3年度末に進度を調整し、未着工であったが、平成17年12月に山口県公共事業再評価委員会において建設中止の答申がなされ、参画三者(山口県、周南市、下松市)の協議の後、平成18年度末での中止を決定した。
水源内訳 |
取水場 |
利水施設能力 |
水利権 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
許可水量 |
許可年月日 |
許可番号 |
期限 |
|||
温見ダム系 |
東高垣 |
40000立方メートル/日 |
39744立方メートル/日 |
H29年5月8日 |
指令平29 |
H39年3月31日 |
末武川ダム系 |
東高垣 |
23100立方メートル/日 |
23100立方メートル/日 |
H29年5月8日 |
指令平29 |
H39年3月31日 |
大海町地下水 |
大海町 |
4000立方メートル/日 |
- |
- |
- |
- |
計 |
|
67100立方メートル/日 |
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